岩波ブックセンターについて
昨日飛び込んで来た残念なニュース、
岩波ブックセンターを運営している「信山社」様が破産、
お店も再開の目処がたっていない模様です。
私みたいなへっぽこ本読みには、「岩波書店の本が沢山」ってだけでヒルんでしまう(岩波さんも、最近はだいぶ柔らかくなって来てますけど)お店でしたが、専門書を確実に手に入れられると言う点で、得難い場であったと思います。
遥か昔すぎて、いささか記憶が曖昧ながら、20代の頃ジョン・ダワーの「敗北を抱きしめて」を購入したのが、岩波ブックセンターだったかと。
見た感じよりは読みやすい本だったのに、大学卒業後のごたごたに紛れてなかなか読み進められず、引っ越しの際に処分してしまったんですよね……
いまは、処分してしまったことを後悔しています。
- 作者: ジョンダワー,John W. Dower,三浦陽一,高杉忠明
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2001/03/21
- メディア: 単行本
- 購入: 4人 クリック: 21回
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- 作者: ジョンダワー,三浦陽一,高杉忠明,田代泰子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2001/05/30
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 3回
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少し驚いたのは、信山社は岩波書店とは資本関係のない会社だったと言うこと。
岩波書店直営の書店だと思っていた方も、多いのではないでしょうか?
「信山社」という名前の謎も解けました。
実は、法律の専門書を出している「信山社」という出版社がございまして、
その会社と岩波ブックセンターの関係がよく分からなかったのです。
どうやら、たまたま同じ名前なだけだったようですが。
最後に岩波ブックセンターに入ったのは10月頃で、岩波書店の本や同テーマの他社の本をうまく関連づけて、時々柔らかめの本を挟み込んでゆく棚づくりがすごいと思いました。
この時、「敗北を抱きしめて」を再購入するかだいぶ迷ったのですよね。
いま思えば、購入しておけばよかったなあ。
青山ブックセンターや、高田馬場の芳林堂書店など一度無くなりかけても、他社の支援などあって営業を続けられる場合もあります。
岩波ブックセンターも、何らかの形で再建できるとよいですね。
組版ってどんなお仕事?
このところ、実母とパートナーのご両親に立て続けに会う機会があったのですが、
どちらでも聞かれたのは、「アトリエ渋谷はどんなお仕事をしているの?」と言うことです。
「書籍のデザインと、主に組版をやっています」とお返事すると、
次にくるのは、「組版って何?」という質問。
これが、説明するのが難しくて……
しどろもどろになりながら、「文章と写真などを配置して、誌面を作るお仕事なんです」と説明しても、相手はなんだかピンとこない表情です。
前職の書店員だったころは「本屋です」で説明終了だったのですが、「組版」って読者の方と直接接する仕事ではないので、出版業界以外の人にはなかなかイメージしにくいのだと思います。
少しでも分かりやすくイメージして欲しくて、色々考えたのですが、「音楽」に例えるのはどうだろうか?と思いつきました。
著者=歌詞、メロディという素材を作り出すアーティスト
編集者=全体的なイメージなどの調整を行うプロデューサー
組版=プロデューサーの意向を受けながら、アーティストの作った素材を曲の形におとしこむ編曲家(サウンドエディター)
今度組版について聞かれた時は、この例えで説明しようと思います。
席替えと未来と
ちょっとした必要があって、会社の席替えをしました。
アトリエ渋谷メンバーは3つの部屋に別れて仕事しているのですが、
私は今までと違う部屋に移動。
まだ、なれない面もあるのですが、心機一転がんばります。
休日に、西荻窪の信愛書店 en=gawa という書店で、大ベテランの書店員さんと話す機会がありました。
書籍関係のお仕事をしている人間が話し込むと、必ず話題は「紙の本ってどうなっちゃうんだろうね」という方向に流れます。
お話しながら感じたのは、紙の本の役目には「情報を交通整理すること」があるんじゃないかということです。
インターネット上の情報は際限なくあるけれど、膨大すぎて1人で把握することは困難だし、信憑性が薄かったり、あきらかなデマや悪ふざけも多い。
私は、仕事上の必要など正確な情報が欲しい時は、やはり紙の本を参照することが多いです。
いわゆるデジタルネイティブな世代になると、また違ってくるのかもしれませんが……
アトリエ渋谷で請け負っている「組版」というお仕事も、「情報の交通整理」という面があると思います。
正確な情報を読者の方が読みやすい形に落とし込んでゆくこと
やることが沢山あって大変ですけど、そう心がけながらお仕事に励みたいと思います。
本の町
先週の金曜日に始まった「神田古本まつり」が、いよいよ今週の土曜日曜でフィナーレです。
なかなか天候に恵まれず、せっかくの露天がビニールシートで覆われている時間が長かったのは残念ですが、
町にいつもより活気があり、表に出ると本の匂いがしてきそうな雰囲気なのは、さすが世界一の本の町だなあ、と言った感じでした。
私も、何度か露天を冷やかして「ああ、この本読みたいなあ」という本も何冊かあったんですが、今のところ釣果(自分のモノにした古本を、こう呼んでいるのです)はゼロ。
露天から恐る恐る本を抜き出し、さあ、お会計という段になると、もうひとりの私がこう囁くのです。
「この本を買ったら、積ん読本(所有してはいるものの、読んでない本のことです)がまた増えるよね、止めておきなさい」
そう、神保町で働き始めてはや9ヶ月、町にあふれる本達の誘惑に抗しきれず、買ってはみたものの読んでない本が大量に積み上がっているのです。
「読むために本を買っているうちは、まだまだ古本道の初心者」
「読了した本だけでなく、未読の本も、その人の知性を形作っている」
……本好きの先人達は、こんな格言(というか、居直り)を口にしますが、
広いとは言いがたいアパート住まいの身には、そんな贅沢なかなか出来ません。
でも、新刊流通に載っている本はまだしも、古本屋の本との出会いは一期一会、
ここで縁をつないでおかないと、その本を読むことは二度と出来ないかも知れないのです。
買っても積んで置くだけで読んでないじゃん、という突っ込みは無しの方向で……
こう書いているうちにも、「やっぱり、あの本買っておけば良かった」と言う気持ちがむくむくとわいてきちゃいます。
もう一度だけ、あの露天を見に行こうかなあ。
まだ、あの本が残っていたら、それって運命ですよね。
9月のお仕事
更新がとびとびになってしまい、申し訳ありません。
定期的に更新、というのは少し難しいかもしれませんが、
スキマ時間を見つけては更新しようと思っておりますので、今後も当ブログをよろしくお願いいたします。
アトリエ渋谷が組版で参加した書籍をご紹介いたします。
(9月発売分、順不同)
現場がわかる! 電気工事現場代理人入門―香取君と学ぶ施工管理のポイント―
- 作者: 志村満
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2016/09/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ECHONET Lite入門 スマートハウスの通信技術を学ぼう!
- 作者: 杉村博,笹川雄司,関家一雄,藤田裕之,一色正男
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2016/09/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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不肖私も校正などでお手伝いした書籍なので、「いい人に買ってもらうんだよ」と、母親目線になってしまうなあ。
1冊の本が読者の手に渡るまでには、本当にたくさんの人が関わっているのですが、その末端に自分も加わっているということが、非常に嬉しいです。
ぜひぜひ、書店の店頭で手に取ってみてください。
植物の話
お久しぶりの更新になってしまい、申し訳ありません。
アトリエ渋谷一同、残暑にげんなりしつつも、元気に仕事に励んでおります。
ブログやメールマガジンを読んでおられる方によく言われるのは、
「植物がお好きなんですね」と言うことです。
実は、現在の事務所にはベランダがあって、以前の借り主さんが丹精していた植物が、色々植わっていたのです。
その植物の面倒を見ているうちに、社長が園芸に目覚め(?)たため、アトリエ渋谷は植物いっぱいのデザイン会社になったわけです。
そんな植物達の近況です。
こちらの記事(赤じその謎 - AtreShibutaniの日記)でご紹介した赤紫蘇と、その後お取引先からいただいた青紫蘇、どちらも元気に育ってます。
青紫蘇は、差し木をしたそうです。
ひまわりも、だいぶ大きくなりました。
もっとごっついものが生えてくると思ったのですが、小振りな品種みたいですね。
つぼみも少しほころび始めてます。
仕事場が植物に囲まれているのは、気持ちがよいものですね。
さあ、今日もお仕事に励むぞ!
江戸っ子だってね、神田神保町の生まれよ
久々の更新になってしまいました。
ここ2〜3週間の気候ときたら、酷暑だったり台風だったり、いけずなかぎりです。
さて、アトリエ渋谷のベランダについてはこちらのブログに何度か書きました。
ブログを見てくださった方からも、「花がお好きなんですね」とよく言われます。
そんなベランダのみかんの木に、お客さんが住み着いております。
ナミアゲハの幼虫達です。
最初は5匹も居たそうですが、鳥に食べられるなどして残ったのは2匹。
1匹が先に巣立った後、最後に残った1匹を、なんとか撮影できました。
こちらが、蝶が羽化した後のさなぎです。
一見不気味な形ですが、巻貝のような螺旋がきれい、自然の造形美と言うやつでしょうか?
そしてこちらは、羽化して半日ほどだった蝶。
驚かしたら可哀想だと思い、遠慮しながら撮ったらこんな写真に……
まだ飛ぶのがあまり上手くないみたいです。
神保町生まれの江戸っ子蝶なんて、趣がありますなあ。
ちなみに、蛹から羽化した蝶が最初にやることは、排泄だそう。
しかも、けっこうな量。
ご案内が最後になってしまいましたが、アトリエ渋谷も組版で参加させて頂いたオーム社様の雑誌、「OHM8月号」「電気と工事9月号」「設備と管理9月号」、いずれも書店さんに並んでおります。
何卒、よろしくお願いいたします。