あとしぶ日記2019

デザイン会社アトリエ渋谷のブログです。障害者雇用に取り組んでいます。

自閉症に関する本を読みました その2

 前回に引き続き、自閉症に関する本の感想を書かせていただきます。

 

自閉症感覚―かくれた能力を引きだす方法

自閉症感覚―かくれた能力を引きだす方法

 

 

 2冊目の本は、自身が高機能自閉症の当事者である、テンプル・グランディンさんの著作です。

 装丁と、「自閉症感覚」というタイトルにひかれて手に取ったのですが、動物施設の専門家と言う著者の経歴を見て、「あ、この人!」と思い当たりました。

 

火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF)

火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF)

 

  先日亡くなったオリヴァー・サックスの名著、「火星の人類学者」に登場する、高機能自閉症を抱えた動物学者が、彼女だったのです。

私が高機能自閉症について初めて知ったのが、大学生の時(はるか昔です)に読んだこの本でした。

 

 あくまでも、「成功者」であるグランディンさんの経験をもとに書かれた本ですので、すべての記述が誰にでも当てはまるとは限らないし、他の当事者に対して厳しすぎないかと思う面もあるのですが、それでも、「自閉症感覚」をもつ当事者の言葉は非常に貴重だと思いました。

 

 例えば、「感覚刺激」の問題。

自閉症の当事者には、他の人がさほど気にならない音やにおいと言った刺激が、とてつもないストレスになってしまうことがあるそうです。

グランディンさんの場合、騒音を聞くと歯医者のドリルが神経に当たったような痛さを感じるのだとか。

 学生時代にクラスにいた自閉症の子が、他の子が鼻をすする音を聞くたび、大きく反応していたのを、思い出しました。

私たちからすると、「それくらい我慢してよ(風邪や花粉症で仕方なく鼻をすすっている訳ですしね)」と思ってしまう刺激でも、本人にとっては途轍もない苦痛だったのかもしれません……

 

 また、自閉症の人がおしゃべりに参加できるようにするには、ゆっくり話し、視線やしぐさで表現せずに、思っていることを声に出してくわしく話すといいと言うのは、実践しやすいかな、と思いました。

まあ、K木さんの場合、わりとアグレッシブにこちらに話しかけて下さいますけどね。

 

 

 思いの外、長い文章になってしまいました。

どちらの本も、子供の療育に関する記述が多めとはいえ、自閉症について知ろうとした時、よい入口になる一冊だと思います。